筋萎縮側索硬化症は主に中年以降に発症し、一次運動ニューロン(上位運動ニューロン)と二次運動ニューロン(下位運動ニューロン)が選択的にかつ進行性に変性消失していく原因不明の疾患です。筋萎縮側索硬化症の発病は年齢とともに増大して50~60歳代でピークに達し、以降再び低下します。
筋萎縮側索硬化症発病危険因子として地下水の金属イオン濃度や植物種子の摂取、外傷などとの関連があげられていますが、確実な根拠となるものは見出されていないです。筋萎縮側索硬化症の場合、比較的速く、人工呼吸器を用いなければ通常は2~4年で死亡します。
筋萎縮側索硬化症(ALS)の原因は不明で、筋萎縮側索硬化症の運動ニューロン死の機序としては、興奮性アミノ酸説、フリーラディカル説、ウイルス感染説などがあります。 グルタミン酸が興奮性の神経伝達物質として働き、運動ニューロンを過剰刺激して細胞死を起こすという説(グルタミン酸仮説)があり、現在認可されている治療薬リルゾールはこの仮説に基づいて開発されました。
- タンパク質の異常凝集
- ミトコンドリアの異常
- かつて血管拡張因子と考えられていたタンパクの機能異常
- スーパーオキサイドの過剰産生による細胞死
筋萎縮側索硬化症(ALS)は発症様式により3つ分類ができます。これ以外にも呼吸筋麻痺が初期から前景となる例や、体幹筋障害が主体となる例があります。
- 上肢型筋萎縮側索硬化症(ALS)(普通型)
上肢の筋萎縮と筋力低下が主体で、下肢は痙縮を示す。
- 球型筋萎縮側索硬化症(ALS)(進行性球麻痺)
言語障害、嚥下障害など球症状が主体となる。
- 下肢型筋萎縮側索硬化症(ALS)(偽多発神経炎型)
下肢から発症し、下肢の腱反射低下・消失が早期からみられ、二次運動ニューロンの障害が前面に出る。
安全に美味しく摂取できる方法を考えることが大切です。筋萎縮性側索硬化症の進行に応じて対応していくことも必要です。口から食べることが難しくなった場合には、経鼻経管栄養法や胃に小さな孔をあける胃瘻造設法などによって栄養や水分を確保します。
筋萎縮側索硬化症(ALS)はきわめて速く進行し、治療しない症例の半数ほどが発症後5年以内に呼吸筋の麻痺を起こし、自力で呼吸ができなくなって死亡します。筋萎縮側索硬化症(ALS)の呼吸筋麻痺を起こすと、延命治療として気管切開による人工呼吸器が選択されます。
人工呼吸器装着後も麻痺は進行し、末期には眼球運動も麻痺し、本人意思の確認は極めて困難になります。人工呼吸器装着に伴い、会話ができなくなると、眼球運動を介助者が読み取り、文字盤を利用します。